ESHRE guideline for the diagnosis and treatment of endometriosis 2007
ESHRE(欧州生殖発生学会)による子宮内膜症の診断・治療ガイドライン 2007改訂版
- EBM:Evidence Based Medicine(根拠に基づく医療)
- 診療ガイドライン:特定の臨床状況において、適切な判断を行うため、臨床家と患者を支援する目的で系統的に作成された文書と定義される。
- ESHRE:European Society of Human Reproduction and Embryology(欧州生殖発生学会)
- WES:World Endometriosis Society(世界子宮内膜症学会)
EEA:European Endometriosis Alliance(欧州子宮内膜症連合:"協会"という名前ではないが患者主体組織)
Charles Chapron、Gerard Dunselman、Robert Greb、Thomas D'Hooghe、Daniela Hornung、Lone Hummelshoj、Stephen Kennedy 、
Andrew Prentice、Ariel Revel、Ertan Saridogan *9人から10人に増え、1人出て2人新人
目的(Objective)
このガイドラインの目的は、子宮内膜症とその諸症状の診断と治療のための勧告を作成することである。
デザイン(Design)
欧州の臨床婦人科医、EBMの専門家、子宮内膜症患者サポートグループの代表により構成されるワーキング・グループが、会議を開催した。エキスパート・パネルは、現存するエビデンスに基づく複数のガイドラインと複数のシステマティック・レビューをレビューした後、1日に3回会合を持ち、本ガイドラインの作成と推敲作業を行った。パネル・メンバーの臨床経験のみによる推奨は、可能な限り避けた。
ESHREの子宮内膜症・子宮内膜特別班全体が、ガイドライン案に対し意見を提出する機会を与えられ、その後、ガイドライン案は誰もが意見を出すことができるように、ESHREのウェブサイトに3ヶ月間掲示された。ワーキング・グループは、その後、無記名あるいは無記名に近い投票によりガイドラインを承認し、最後に、ESHREの理事会により正式に承認された。
このプロセスに続いて、現在では本ガイドラインを毎年アップデートしている。これは、厳密なプロトコルに従い、1年間を通じて新しい研究報告を2ヵ月ごとにピア・レビューし、ガイドラインに反映するものである。
本ガイドラインは誰もが閲覧できるように、http://www.endometriosis.org/guidelines.html上に掲示され、ガイドラインを支持する様々なエビデンスや関係する参考文献、抄録に、ハイパー・リンクしている。
主たる結論(Main conclusions)
子宮内膜症が推測される症状をもつ女性に対し、ほとんどのタイプの子宮内膜症で、確定診断には腹腔鏡による下腹部内の視診が"ゴールド・スタンダード"として必要とされる。
しかし、この疾患を推測する疼痛症状(pain symptoms)は、診断を確定せずとも、月経血を減少させるホルモン剤(a hormonal drug
to reduce menstrual flow)〔J注:ピルとプロゲスチン〕を治療的に試すことにより(using a therapeutic trial)、治療することができる。
腹腔鏡で確定診断された女性では、6ヶ月間の卵巣機能抑制(suppression of ovarian function)〔J注:ピル、プロゲスチン、ダナゾール、GnRHアゴニストなどの排卵抑制できるホルモン剤〕により、子宮内膜症性疼痛(endometriosis-associated
pain)は軽減する。
検討された全てのホルモン剤の有効性は同等であるが、副作用とコストの側面は異なる。
病変の焼灼〔J注:腹腔鏡手術中の処置で焼くこと〕は子宮内膜症性疼痛を軽減するが、軽症の患者での効果は極めて小さい。
腹腔鏡下仙骨子宮神経切断術(LUNA)が必要であるというエビデンスはない。
軽症から中等症では、妊孕性改善(improve fertility)を目的とした卵巣機能抑制は無効であるが、癒着剥離を加えた病変の焼灼は、診断的腹腔鏡〔J注:お腹の中を見るだけの手術〕単独に比べ、妊孕性改善に有効である。
中等症から重症に対する外科的切除〔J注:腹腔鏡でも開腹でも病巣を切除すること〕が妊娠率(pregnancy rates)を向上するかは、エビデンスが不十分である。
IVF〔J注:体外受精〕は、不妊に他の原因が伴っているとき、および/または他の治療が失敗したとき、とくに適切な治療である。
しかし、子宮内膜症の女性のIVF妊娠率は、卵管不妊に比べて低い。
重症または深部浸潤性子宮内膜症の管理は複雑であり、必要な高度専門技術を有するセンター施設への紹介を強く推奨する。
患者自助グループ(patient self-help groups)〔J注:世界の協会たちは患者サポートグループpatient support groupsと自称する〕は、非常に貴重なカウンセリング、サポートおよびアドバイスを提供することができる。
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A |
少なくとも1つのRCTが実施され、文献内容が良質であり、一貫性を持って具体的推奨をしていることが要求される。
【レベル1a(システマティック・レビューまたは複数のRCTのメタ・アナリシス)、レベル1b(少なくとも1つのRCT)】 |
B
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トピックとして推奨を行うに十分な、非RCTでも良質の比較臨床試験が実施されていることが要求される。
【レベル2a(少なくとも1つのよくデザインされた非RCT)、レベル2b〔少なくとも1つの他のタイプのよくデザインされた準実験的研究(quasi-experimental study)〕、レベル3〔よくデザインされた非実験的記述的研究(descriptive studies)、例えば比較研究(comparative studies)、相関研究(correlation studies)、ケースコントロール研究(case studies)〕】 |
C
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エキスパート委員会の報告、または見解、および/または権威者の臨床経験からのエビデンスが要求される。適応を示すものの、直接応用可能な良質の臨床試験には欠けるもの。
【レベル4(エキスパート委員会の報告、または見解、および/または権威者の臨床経験)】 |
GPP |
ガイドライン作成グループの臨床経験に基づく推奨ベスト・プラクティス。
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